5.APPENDIX:研究論⽂と概要

アロマ成分複合体(DOMAC)関連論⽂

タイトル ⼝腔カンジダ症に対する Oligonol の効果
著者 ⽻⼭ 和美、⽯橋 弘⼦、北舘 健太郎、⼭崎 正利、安部 茂
掲載雑誌 Jpn J Med Mycol 2010; 51: 137-142.
要旨 ライチ果実由来ポリフェノールを低分⼦化したオリゴノールは、in vitro の Candida albicans の増殖に及ぼす効果を調べた結果、菌⽷発育を 313μg/mL以上の濃度で抑制することが分かった。また、⼝腔カンジダ症マウスモデルを作製し、オリゴノールを1回につき 50μL(20mg/mL濃度)を3回⼝腔内に投与したところ、⾆の症状が著しく改善され、菌の定着が少なくなることが分かった。オリゴノールが少量の投与でマウス⼝腔カンジダ症に効果を⽰すことから、⼝腔カンジダ症の予防および患者への補完代替医療としての使⽤が期待される。
タイトル アロマキャンディのカンジダ発育阻⽌能とマウス⼝腔カンジダ症に対する防御効果
著者 ⽻⼭ 和美、⾼橋 美貴、鈴⽊ 基⽂、江澤 邦夫、⼭崎 正利、松川 泰治、來住 明宣、佐藤 喜哉、安部 茂
掲載雑誌 Med Mycol J 2015; 56J: J23-J29.
要旨 Candida albicans の菌⽷形発育を抑制することが知られているライチ由来ポリフェノールであるオリゴノール、カシア粉末、シトラール、カプリン酸などを含有するキャンディを作製し、⼝腔カンジダ症への適⽤の可能性を検討した。キャンディを⽔で溶解、希釈したサンプルを in vitro にて C.albicans に添加し培養したところ、約 0.1%でも 50%の菌⽷形発育抑制を⽰した。また、⼝腔カンジダ症マウスモデルにて、キャンディの防御効果を検討したところ、キャンディを⽔に溶かし4倍希釈しても、有意なマウス⾆病変スコアの低下がみられた。⼝腔内⽣菌数の減少こそ認められなかったが、本キャンディは⽇常的に美味しく摂取できることから、⼝腔ケアの⼀⼿段になりうると考えられた。
タイトル カンジダ保有⾼齢者の⼝腔カンジダ⽣菌数および⼝腔内衛⽣に及ぼすアロマキャンディ摂取の影響に関する研究
著者 鈴⽊ 基⽂、⽻⼭ 和美、⾼橋 美貴、江澤 邦夫、⼭崎 正利、松川 泰治、來住 明宣、佐藤 喜哉、安部 茂
掲載雑誌 Med Mycol J 2015; 56J: J31-J40.
要旨 マウス⼝腔カンジダ症モデルで有効性を⽰したオリゴノール、カプリン酸などを含むアロマキャンディ(試験⾷)を健常⾼齢者の⼝腔 Candida albicans ⽣菌数および⼝腔内衛⽣状態に与える影響検討した(プラセボ対照⼆重盲検、クロスオーバー、群間⽐較および飴摂取前後⽐較試験、n=20)。被験者を 10名ずつ 2群に分け、試験飴または対照飴を 1⽇3回(1粒/回)7⽇間摂取した後、14⽇間休⽌し、再度、最初と逆の飴を同じように 7⽇間摂取した。その結果、試験飴あるいは対照飴を摂取した両群間に有意差はないものの、当初 C.albicans の⽣菌数が4,000CFU以上保有する被験者(⾼C.albicans保有者)において、試験⾷群では⼝腔すすぎ液のC.albicans⽣菌数および⼝臭スコアが摂取前に⽐較して有意に低下した(p<0.05)。アンケート調査でも、⾼C.albicans保有者で、⼝臭、ネバネバ感およびスッキリ感の改善効果が試験飴群と対照飴群間で有意な差が認められた(p<0.05)。本キャンディは、⾼C.albicans保有者では、C.albicans⽣菌数を減少させるとともに、⼝腔衛⽣改善効果を発揮する可能性が⽰唆された。
⽇本⻭科薬物療法学会の奨励賞を受賞
タイトル シトラール、シンナムアルデヒド、オリゴノール®、カプリン酸を含有する飴の⼝腔カンジダ症に対する効果
著者 中川 洋⼀、⼭近 重⽣、⽻⼭ 和美、鈴⽊ 基⽂、松川 泰治、安部 茂
掲載雑誌 ⻭薬療法 2018; 37: 101-107
要旨 シトラール、シンナムアルデヒド、オリゴノール®、カプリン酸を含有するキャンディの⼝腔カンジダ症に対する効果を検討した。唾液分泌減退を⽰す紅斑性カンジダ症の患者を対象に、プラセボ対照⼆重盲検試験を実施(n=20)。試験キャンディ群(n=10)と対照キャンディ群(n=10)には、1⽇に2回キャンディを摂取してもらい、7⽇間継続した。試験キャディ群にて、有意に萎縮性⾆背(p=0.015)、⾆背発⾚(P=0.046)、⼝腔粘膜の発⾚(P=0.015)の改善効果が認められた(Wilcoxon t-test)。⼝腔のゆすぎ液中のカンジダの⽣菌数や⼝腔粘膜の⽔分含量には群間で差は認められなかった。以上のことから、本キャンディは唾液分泌減少症の患者の⼝腔カンジダ症の予防において効果的である可能性が⽰唆された。
タイトル ⼝腔内衛⽣環境の改善のためのアロマキャンディの開発
著者 ⽻⼭ 和美、⾼橋 美貴、鈴⽊ 基⽂、安部 茂
掲載雑誌 Medical Mycology Research 2015; 6: 3-9.
要旨 ⼝腔内衛⽣環境を改善する⼿段として、安全かつ簡便に⼝腔でのカンジダ症を軽減しうるアロマキャンディをユーハ味覚糖と共同開発した。キャンディに含有させる素材として、ライチ由来ポリフェノールであるオリゴノールや脂肪酸、およびその関連アルコールについて着⽬した結果、オリゴノールは Candida albicans の菌⽷形発育阻害活性があり、⼝腔カンジダ症マウスモデルにおいても明瞭な⾆症状の改善と⼝腔内カンジダ⽣菌数の低下をもたらすことがわかった。また、脂肪酸およびその関連アルコールとしては、炭素数が10(C10)の脂肪酸であるカプリン酸が C.albicans の菌⽷形発育を強く抑制した。これらを組み合わせたアロマキャンディは、動物に効果を⽰し、なおかつ⾼齢者がこのキャンディを摂取すると、⼝腔内カンジダ⽣菌数が有意に低下することが明らかになった。
タイトル アロマ含有キャンディの摂取による⾵邪症状の緩和効果について-ランダム化プラセボ対照並⾏群間⽐較試験ー
著者 松川 泰治、⼤橋 邦啓、⼤貫 宏⼀郎、加藤 梨那
掲載雑誌 Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)2018; 46: 1563-1569.
要旨 アロマ含有キャンディの⾵邪症状への効果を、ランダム化プラセボ対照並⾏群間⽐較試験にて評価した(Visual Analogue Scale(VAS)法、n=51)。アロマ含有キャンディまたはプラセボを3粒/⽇、28⽇間摂取した。結果、摂取前と⽐較して摂取後に VAS の「声枯れ」の項⽬で試験物群に有意な低下、「のどの不快感」「のどの荒れ」の項⽬で有意な低下傾向がみられた。これらの変動は被験者がのどの症状の緩和を主観的に感じていることが⽰されている。
タイトル 植物精油、とくにレモングラス精油および構成テルペノイド citral の抗 Cnadida albicans 作⽤
著者 安部 茂、佐藤 祐⼀、井上 重治、⽯橋 弘⼦、丸⼭ 奈保、滝沢 登志雄、⼤島 治之、⼭⼝ 英世
掲載雑誌 Jpn J Med Mycol 2003; 44: 285-291.
要旨 アロマテラピーとして経験的に利⽤され、真菌症に効果があるといわれる植物精油12種について、⽜胎児⾎清を含む培地での Candida albicans の発育形態に及ぼす影響を調べた。C.albicans を RPMI1640 培地で3時間培養して、germ tube を形成させた後、様々な濃度の精油を添加して、さらに16時間培養し、発育菌⽷量をクリスタル紫染⾊法にて測定した。その結果、100μg/mLの濃度で加えた場合には、レモングラス(Lemongrass)、タイム(Thyme)、パチュリ(Patchouli)、シダーウッド(Cedarwood)の各精油が明確な菌⽷形発育抑制作⽤を⽰した。レモングラス精油の主要構成物質である citral は、25〜100μg/mLの濃度で菌⽷形発育を阻⽌し、200μg/mL以上では、菌⽷形発育のみならず、酵⺟形発育に対しても抑制的に作⽤した。これらの結果は、C.albicans の発育、とくに菌⽷形発育を強く阻⽌する作⽤をもつレモングラス精油、もしくは citral が表在性カンジダ症の局所療法に有⽤である可能性を⽰すものである。
タイトル Therapeutic Effects on Murine Oral Candidiasis by Oral Administration of Cassia (Cinnamomum cassia ) Preparation
著者 Taguchi Y, Takizawa T, Ishibashi H, Sagawa T, Arai R, Inoue S, Yamaguchi H, Abe S.
掲載雑誌 Jpn J Med Mycol 2010; 51: 13-21
要旨 各種ハーブやスパイスの in vitro での Candida albicans の⽣育への影響、さらには特定のハーブ標品を⽤いたマウスでの⼝腔カンジダ症モデルでの治療試験を⾏った。レモングラス(Cymbopogon citratus)、レモンバーム(Melissa officinalis)、タイム(Thymus vulgaris)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、ローゼル(Hibiscus sabdariffa )、グリーンティー(Camellia sinensis)、カシア(Cinnamomum cassia )すべてが in vitr o にてカンジダ菌⽷形の⽣育を阻⽌した。In vitro での⽣育阻⽌効果は、レモングラス、グリーンティーおよびカシアが他のものより強かった。この中のレモングラス、あるいはグリーンティーの⼝腔カンジダ症モデルマウスへの投与試験では改善効果が認められなかったが、カシアについては症状改善および⼝腔内のカンジダ⽣菌数の減少をもたらした。GC/MSを⽤いた試験と in vitro での抗菌⽷形⽣育試験から、シンナムアルデヒドがカシアの抗カンジダ菌⽷形活性の本体であることが⽰唆された。以上より、カシアの摂取が⼝腔カンジダ感染に対して、予防ないし治療のツールとなる可能性が⽰された。
タイトル 中鎖脂肪酸カプリン酸の Candida 菌⽷形発育阻⽌作⽤と⼝腔カンジダ症治療効果
著者 ⾼橋 美貴、井上 重治、⽻⼭ 和美、⼆宮 健太郎、安部 茂
掲載雑誌 Med Mycol J 2012; 53: 255-261.
要旨 4種の飽和脂肪酸(カプロン酸 C6、カプリル酸 C8、カプリン酸 C10、ラウリン酸 C12)について in vitro でのカンジダ発育に対する影響を検討した結果、カプリル酸、カプリン酸、およびラウリル酸で菌⽷形発育阻⽌が認められた(>0.78μg/mL as final conc.)。この抗菌活性評価で作⽤の強かったカプリル酸、カプリン酸についてマウス⼝腔カンジダ症に及ぼす改善効果を調べた。カプリン酸、カプリン酸を1回につき50μL(3%濃度)を Candida albicans 摂取3時間後、24時間後および72時間後に、3回⼝腔内に投与したところ、⾆の症状が改善された。病理観察でも菌の定着が少なくなることが⽰唆された。カプリン酸においてはより少量で効果を⽰し、その改善も著しいものであった。これらのことから、カプリン酸は⼝腔カンジダ症の予防および患者への補完代替医療としての利⽤が期待された。
タイトル 抗カンジダ活性を有するプロタミン酵素分解物のオーラルケア素材としての応⽤
著者 庵原 啓司
掲載雑誌 酵素⼯学ニュース 2017; 77: 25-29.
要旨 プロタミンは、サケやニシンなどの⿂類の精巣(⽩⼦)から得られる抗菌活性を有する塩基性タンパク質であり、天然物由来の⾷品保存料として利⽤されている。今回、プロタミンの抗菌スペクトラムの増強を⽬的とし、プロタミン酵素分解物の抗カンジダ活性について検討し、⼝腔カンジダ症予防を含めたオーラルケア素材としての応⽤を⽬指した。プロタミン酵素分解物は種々のカンジダ菌(Candida (C) albicans、C.glabrata、C.tropicalis、C.krusei )に対して抗菌活性を⽰した。これら活性は、プロタミンを各種酵素で分解して得られるプロタミンペプチドによってもたらされ、細胞内にペプチドが到達することによって殺菌作⽤が発現することが判明した。このプロタミン酵素分解物は義⻭床素材PMMA 表⾯において抗カンジダ活性を⽰し、⼝腔カンジダ症モデルマウスを⽤いた評価実験でも⾆症状に有意な改善をもたらした。カンジダ菌を原因菌とする⼝腔カンジダ症は⾼齢者(特に義⻭装着者)に多く⾒られる症状である。義⻭洗浄剤や⼝内洗浄剤、機能性⾷品などにプロタミン分解物を添加することによって感染予防につながる可能性が⽰された。
タイトル アルギニンリッチな配列を有する新規抗カンジダ活性ペプチド
著者 庵原 啓司、河原﨑 正貴、古賀 倫⼦、関⼾ 治知、杉本 正裕、江成 宏之
掲載雑誌 Bokin Bobai 2009; 37: 413-420.
要旨 シロサケ⽩⼦由来プロタミンを各種プロテアーゼで加⽔分解して得られた分解物は、天然のプロタミンよりも Candida albicans に対する抗真菌活性が増強された。サーモライシン分解物中に含まれる活性ペプチドの検索を⾏い、14残基からなるペプチド VSRRRRRRGGRRRR を決定し、また本ペプチドは抗真菌活性新規であることが判明した。グラム陽性細菌や陰性細菌に対する活性が認められなかったことから、真菌、特に C.albicans に対して特異的に⽣育阻害作⽤を⽰すペプチドであることが判明した。また、4残基短い RRRRGGRRRR でも活性を認めたことから、GG の両端を4残基以上のアルギニン鎖で挟んだ配列で活性が発現されるものと推察された。⾼齢化社会を迎え問題となっている⼝腔カンジダ症に対し、⾷品由来で安全⾯においても優れた抗真菌剤として効果を⽰す可能性が⽰唆された。
タイトル Effects of Food Containing Aroma Compounds on Oral Hygiene - A Preliminary Pilot Clinical Study in Elderly People Requiring Care -
著者 Obara M, Hayashi H, Namaki N, Furushima D, Kato R, Matsukawa T, Suzuki D, Ymada H, Sugiyama T.
掲載雑誌 Therapeutic Research 2020; 41: 125-131.
要旨 誤嚥性肺炎は、嚥下機能の低下を来した⾼齢者において、飲⾷物と⼝腔内細菌が誤って気管に⼊ることによって⽣じる感染症であり、⼝腔衛⽣の重要性が指摘されている。シナモンパウダー、ライチ由来の低分⼦ポリフェノール、脂肪酸、シトラール、サケ⽩⼦由来プロタミンを含んだアロマ混合物が⼝腔衛⽣を改善することが報告されている。本研究では、上記のアロマ混合物ジェル(アロマジェル)を調製し、介護が必要な⾼齢者の⼝腔衛⽣における効果を評価した。介護施設に居住している⾼齢者を対象に、アロマジェルを1⽇2回、1ヵ⽉摂取してもらい、⼝腔細菌数、⽇和⾒感染、⼝臭などを試験スタート時、試験期間中評価した。48名の⾼齢者が4週間のアロマジェル摂取を完了した。⼝腔細菌数については、摂取2週間後、摂取前と⽐較して有意に減少し、その効果は4週後まで継続した。他のエンドポイントについては有意差は認められなかったが、複数⼈の参加者で⼝臭の改善が認められた。
タイトル Oligonol a Low Molecular Weight Polyphenol of Lychee Fruit Extract Inhibits Proliferation of Influenza Virus by Blocking Reactive Oxygen Species-Dependent ERK Phosphorylation
著者 Gangehei L, Ali M, Zhang W, Chen Z, Wakame K, Haidari M.
掲載雑誌 Phytomedicine 2010; 17: 1047-1056.
要旨 抗インフルエンザ薬剤に対する耐性株が出現していることから、われわれは異なる耐性能を有した新たな抗ウイルス分⼦が⽣まれることに期待を寄せている。ポリフェノール化合物は、多くの植物に含まれ、抗ウイルス活性や抗酸化能を⽰す。オリゴノールと呼ばれるライチ由来の低分⼦ポリフェノールが、細胞外シグナルによって制御されているキナーゼ(ERK)のリン酸化を阻⽌することで、抗インフルエンザ活性を⽰すという仮説を検証した。リアルタイム PCR、プラークアッセイ、免疫蛍光染⾊法によってオリゴノールのインフルエンザウイルスの増殖に与える影響を評価した。まず、オリゴノールは、インフルエンザウイルスが MDCK 細胞に吸着をブロックすることでその増殖を阻止することを明らかにした。また、ウイルス感染後でもウイルスリボヌクレオ蛋⽩(RNP)の核外への輸送を抑えることでその増殖を阻⽌した。インフルエンザウイルスに感染した MDCK 細胞では、活性酸素(ROS)の産⽣が上昇し、ROS 依存性 ERK のリン酸化も誘導される。ERK の dominant negative 変異やNAC(N-acetyl-cystein)による ERK の活性化阻害は RNP の核外への輸送をブロックする。PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)は ROS を誘導し、ERK リン酸化も誘導し、インフルエンザウイルスの増殖を促進する。オリゴノールと NAC は PMA による ERK リン酸化と ROS 産⽣を抑制する。これらのことからオリゴノールの抗インフルエンザ活性のメカニズムとして、ウイルスの RNP 核外への輸送の阻害効果は、 ROS による ERKリン酸化誘導に対するブロック効果であると⽰唆される。