1.健康づくりは、口から

健康づくりは、口からだ; 
口を起点とした健康づくりの考え方

口の健康が健康寿命を延ばして、
より豊かな人生へ

口内の状態は、食生活や社会生活、さらには全身の健康に関係しています。口の中にあるむし歯菌・歯周病菌によって、歯や歯肉が痛んだり、歯がぐらついたりすると、歯を失うことになって、よく噛めなくなる――というだけではありません。食事を“楽しむ” ことができなくなると同時に、消化や栄養の吸収が悪くなって全身の健康状態に影響を及ぼすのです。加齢などによる口腔機能の衰えを意味するオーラルフレイルは、噛む、飲み込む、話す機能が衰えるだけでなく、栄養不足や気分の落ち込みも引き起こすことから、要介護をもたらす身体のフレイルの入り口ともいわれています。

80歳の高齢者を対象にした統計分析等※1では、歯の損失が少なく、よく噛める人は、口腔とは一見関係ないような、運動・視聴覚機能に優れていること、生活の質(QOL)や活動能力が高いことが確認されています。また、要介護者を対象にした調査※2でも、口腔衛生や咀嚼能力を改善することで、誤嚥性肺炎が減少。日常生活を送るために最低限必要な、起居・移動・食事・更衣・排泄・入浴といった動作の改善にもつながることが示されました。

口腔環境の悪化→歯の喪失・咀嚼力低下(かめない)→食べられるものが限られる→栄養状態の悪化→身体・精神機能の低下→身体活動量、体力の低下→生命・生活の質の低下
※1 厚生科学研究「口腔保健と全身的な健康状態の関係に関する研究」
※2 花田信弘 他,高齢者の口腔および全身健康状態に関する疫学研究,口腔衛生会誌,49,1999.
健康づくりは、口からだ; 
口を起点とした健康づくりの考え方

WHOも注目!
口と全身疾患の関係が明らかに

これまで“口と全身の健康”は主に介護の現場で語られてきたましたが、近年では高齢者に限らず、全身のさまざまな疾患との関係が明らかになりつつあります。例えば、歯周の炎症関連物質は歯周ポケットから血流にのり、血糖値を下げるインスリンを効きにくくして、糖尿病の発症・進行を招きます。また、動脈硬化を起こした心臓の血管壁から歯周病菌が見つかる人は多いといいます。

このように口の中だけにとどまらない口内環境の重要性が明らかになってきたことで、入院患者や手術前後の患者などを対象に、口腔衛生指導を行う口腔ケアセンターや口腔ケア専門外来を備える病院も出てきました。
WHO(世界保健機関)も、口腔の健康が全身の健康にとって重要で、QOLの決定要因であるとしており、「唾液検査によって全身状態や疾患の兆候を把握する貴重な手がかりを得ることができる」と明言しています。

口腔衛生