オートファジー研究所 オートファジー研究所

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注目のオートファジー
健康・若さへの効果を解説
(革新的なアンチエイジングへの切り口)

オートファジーの効果を考えるとき、皆さんは、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
インターネットで検索すると、「オートファジーダイエットで痩せる」などのダイエット効果が目立ちますが、それでは、オートファジーを誤解してしまう可能性があります。
では、どんな効果が期待されているのでしょうか?
今回は、アンチエイジングに対して革新的な切り口として注目を集めているオートファジーの効果について、
UHA味覚糖がわかりやすくお伝えします。

今、注目のオートファジー

オートファジーが注目される理由のひとつは、健康長寿老化防止(アンチエイジング)に深く関係していることが明らかになり、これまで「どうすることもできない」と思われてきた「寿命や⽼化」を、「どうにかなるかも知れない」と人々に希望を与えたからです。

オートファジーとは?
オートファジーの効果に触れる前に、そもそもオートファジーとは何かを振り返ってみます。

オートファジーは、細胞内を正常な状態に保つために、細胞内の物質を分解する、いわばリサイクル業者のような働きのことで、生命維持に欠かせない細胞がもつシステムのことです。

オートファジーの3つの役割とは?
私たちが健康でいるためには、それぞれの細胞が正常に働く必要があります。細胞内を正常な状態に保つために、オートファジーという細胞内の物質を分解する、いわばリサイクル業者のような働きが欠かせません。オートファジーには次の3つ大切な役割があります。

  • ①古くなった細胞の中身を新しく入れ替える
    オートファジーの仕組みによって細胞は何十日かすると新品に生まれ変わる

  • ②有害物の排除
    細胞内で壊れて有害になってしまったものや、細胞内に入り込んだ病原体を排除する

  • ③栄養を得る
    栄養が不足している時に、細胞内の成分を分解して栄養として利用する

詳しくは記事1で

オートファジーが注目される理由

オートファジーが注目される理由
多くの人が年齢を重ねると、肌のシミやしわ、白髪などの見た目の変化や太りやすくなったり、階段で息が上がったりと、美容と健康の悩みが多くなります。そんな一つ一つの悩みに個別に対処していてはキリがありません。美容と健康の悩みを生じさせているのは、年齢とともに生じる細胞の機能低下が根本的な問題です。細胞レベルのアプローチとして、オートファジーによる細胞の再活性化に期待が寄せられているのです。

現状のアンチエイジングの限界
これまでの対処療法的なアンチエイジングでは、限界があると考えられています。それは、老化したり機能が低下したりしている細胞には、いくら栄養素を与えてもそれらを利用する機能が衰えているので、十分な効果は期待できないのです。

革新的なオートファジーという切り口
細胞内で古くなったり壊れたりしたものをオートファジーによって、新しいものに入れ替えて再活性化できれば、細胞そのものの働きが正常化します。それだけでもすごいことですが、そうなるメリットはそれだけではありません。細胞が再活性化された状態で更に栄養素を与えると、その効果を十分に引き出すことができるようになります。このように、オートファジーによるアンチエイジングは従来にはない細胞の仕組みの根本に働きかける、革新的な切り口なのです。

健康長寿への期待

長寿は、昔から人類共通の願いです。オートファジーの研究が進むにつれ、寿命を延ばすメカニズムに深く関係していることが明らかになってきました。

加齢によるオートファジーの低下

私たちの身体が老化していくことは見た目で分かりますが、細胞の老化は一概に見た目ではわかりません。老化した細胞の中で何が起こっているのか?そのしくみを研究することで、老化のメカニズムを解明しようという動きがあります。その中で、年齢を重ねてくると、細胞のオートファジーの働きが鈍ってくることがわかってきました。

老化の引き金:ルビコン

それではなぜ歳をとるとオートファジーの活性が低下するのでしょうか?
最近、ルビコンというたんぱく質が増えることが一因であることがわかりました。ルビコンは、オートファジーを低下させる働きがあるタンパク質です。本来は、オートファジーが暴走しないようにするブレーキ役だろうと考えられていますが、これが異常に増えすぎてブレーキが効きすぎる場合があることが分かってきました。
そして歳をとると多くの細胞でルビコンが増えすぎることが判明したのです。興味深いことに、線虫やショウジョウバエなどの実験動物でルビコンをなくすと、オートファジーが低下せず寿命が1.2倍に延び、加齢によって⽣じるさまざまな障害が起こりにくくなりました。

美容への期待(アンチエイジング)

年齢には2種類あると言われています。一つはすべての人に共通する暦年齢。生まれてから何年経ったのか、という年齢です。一方、見た目や健康度合いが同級生よりも若いと言われる人がいれば、逆に老け込んでいる人もいます。それらは身体の細胞や組織の状態に差があり、生物学的年齢と言われています。

オートファジーが美容に期待されるわけ
それでは、なぜ生物学的年齢に個人差が生じるのでしょうか? これまでも健康的でイキイキと生活している人はいつまでも若々しくあることは誰もが納得できることですが、なぜ見た目が若々しくなるのか? 身体の中でどんなことが起こっているのか?その仕組みはほとんどわかっていませんでした。

肌の構造

肌は、表面からわずか数ミリのところで表皮と真皮の2層があり、その中で角化細胞(ケラチノサイト)、メラノサイト、線維芽細胞などの細胞がしっかり働くことで、肌の健康が保たれています。太陽光に含まれる紫外線はそれらの肌細胞にダメージを与え、光老化と言われる、シミ、しわ、たるみなどの老化を促進します。

肌細胞とオートファジー

オートファジーには細胞内で古くなったり壊れたりしたものを分解する働きがあります。そのオートファジーが、肌の細胞でしっかり働くことで、肌を若々しく保つことができます。具体的には、オートファジーが肌のケラチノサイト、メラノサイト、線維芽細胞などの細胞で正常に働くことで、無防備に浴びた紫外線によって生じる、炎症やコラーゲンの過剰な分解を抑制したり、作り過ぎたメラニンを分解したりして、紫外線の害から肌を保護する働きをしています。こうすることで光老化シミ、しわ、たるみなどの皮膚の変化)から肌は防がれています。
ところが、過剰な紫外線を受けると、肌の細胞のオートファジー自体が低下してしまい、肌を保護しきれなくなってしまいます。

【出典:Jingwen Ma, Yan Teng, Youming Huang, Xiaohua Tao and Yibin Fan, Autophagy plays an essential role in ultraviolet radiation-driven skin photoaging, Front Pharmacol. 2022 Oct 6:13:864331】

健康的な生活習慣を続けて、過剰な紫外線を浴びないことは、生物学的年齢を若く保つことになりますが、そこには、それぞれの細胞内でしっかりとオートファジーが働いてくれるお陰であるということがわかってきました。

まとめ

オートファジーによる細胞再活性化でビヨンドエイジングへ

オートファジーは、細胞内の古いものと新しいものを入れ替える働きを促し、細胞の健康を維持しています。これは、細胞自体の機能を回復する可能性があり、これまでのアンチエイジングの範疇を大きく広げるものです。しかもオートファジーは内臓、筋肉、皮膚だけでなく、脳や神経などのあらゆる細胞に備わっています。オートファジーの低下を抑えれば、それらの細胞の健康を保ち、内側からきれいで若々しい身体の健康をいつまでも維持することが期待できます。
これからのアンチエイジングは、オートファジー活性化などによる細胞ケア、すなわち細胞の再活性化を推し進めていくべきでしょう。それはもはや老化現象の一つ一つに対処するアンチエイジングを超えた次のステージである、ビヨンドエイジングと呼んでもよいかもしれません。

UHA味覚糖の研究の取り組み
もし、ヒトのオートファジー活性を血液検査などで手軽に測れることができたなら、自分の生物学的年齢を簡単に知ることができます。日々の暮らしの中で生物学的年齢を若く保つ生活を意識して、生活や食生活を的確に見直すことができるようになります。そんな未来を現実にするために、UHA味覚糖は株式会社AutophagyGO※と共同でヒトでのオートファジー活性を測定する方法の確立を目指す研究をしています。

  • ※ 細胞の再生を司るオートファジーの最新の研究成果を通じて、広く健康長寿に貢献するために、大阪大学大学院・吉森保教授が設立した

監修
UHA味覚糖 バイオ開発ディビジョン 執行役員
一般財団法人 日本オートファジーコンソーシアム ディレクター
松川泰治
UHA味覚糖 バイオ開発セクション
大阪本社 〒540-0016 大阪市中央区神崎町4番12号